太陽が眩しかったから

「暑ーーいっ! なんなのこの異常気象!」
 まだ四月にもなってないというのに、異常に暑かったこの日。風もなく、太陽の熱が直接降り注ぐ、屋外の事件現場。弥子は既にセーターを脱ぎ、手でぱたぱたと扇いでいる。
「もう、早くアイス食べたいっ」
「『謎』を喰い終わるまで待て」
 ネウロはスーツをきっちり着込んでいて、それが弥子の体感温度をさらに上げる。彼女は我慢できず、制服のリボンを解き、ボタンを二つほどはずした。

「はぁ〜、ちょっとはマシかな……」

 その様子を見ていたネウロは驚いたように目を見開いたが、次の瞬間、無意識に口角を上げていた。

「先生、警察の方にいろいろ聞いてきましょう」
「あ、そうだね」

 ネウロはさりげなく弥子に寄り添って、警官のいるところへ向かった。

「笹塚さーん……あ、オールスターですね」

「やあ、やっぱりいたか、弥子ちゃん」
「探偵、邪魔すんなよ!」
 この辺はいつものやりとりだ。しかし、今日の事件はいろいろと複雑らしく、いつも見かける笹塚や石垣だけでなく、笛吹、筑紫、果ては匪口まで揃っていた。

「よぉ、桂木。今度飯でも食いにいこーぜ」
「む、また出しゃばるつもりか桂木弥子」
「お久しぶりです、桂木探偵」

 それぞれと挨拶を交わし、話を聞こうとした二人。しかしそのとき、刑事達がある一点を凝視し、直後揃って目を逸らした。
「?」
 それを見て、ニヤリと笑うのは魔人。さらに弥子との距離を縮め、腰に手を回す。さらに、普段なら普通に言えばいいことを、わざと耳元で囁くように伝える。

「弥子ちゃん……それ……いや、何でもない」
「探偵!! お前、大人だったんだな!!」

「は? 何ですか?」
 挙動不審になる刑事達に、訳がわからないといった様子の弥子。

「か、か、桂木弥子! 貴様ッ、うら若き女子高生がそんなはしたない格好をするなァァァッ!!」
「え? え?」

 眼鏡をずらした笛吹の叫びに、さらに混乱する。そこへ、筑紫が助け船を出した。優しく目を合わせて、自分の胸元を指したのだ。

「え? ……あああああああああああっっっ!!」

 弥子の胸元……そう、ボタンをはずしたことによって露わになったそこには、くっきりとした紅い印。誰が見ても解ってしまう、それはキスマークだった。
 普段、普通に服を着ていれば絶対に見えない位置。そのことが返って、関係の深さを示してしまっている。
 横を見て真っ赤な顔で睨むが、張本人は何処吹く風だ。

「ネウロ……わざとだろ」
「フン、さあな……ボタンをはずしたのはヤコ自身だ」

 匪口の言葉をさらりとかわし、魔人は満足そうに笑っていた。

++ fin ++

チャットから妄想をふくらませました。
柳沢星様、よこぴ様、お相手ありがとうございました。



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