あなた色
―よこぴ様より誕生日プレゼント―
事件を解決し、謎を食べた帰り道、我が輩の隣を歩いていたヤコが立ち止まった・・・
不振に思い足を止めると、ヤコは道沿いのショップのウィンドウを眺めている。
「ねえ、ネウロ、ちょっと寄り道してもいいかな?」
「・・・生ごみなら事務所にも買い置きがあるであろう?・・・」
「違うよ!! 明日は叶絵の誕生日だからプレゼントを買いたいの!」
ああ、そういえばヤコの誕生日には叶絵から特大ケーキが贈られてきたな・・・
「・・・仕方ない、さっさと済ませろ・・・」
「うん。ありがとうネウロ!」
ショップに入るとそこは小物やアクセサリーを取り扱う店だが、普段ヤコが身に着けているものより少しアンティークで大人な雰囲気だ。
「可愛い!! どれにしようか迷っちゃう!」
ヤコはきゃっきゃとはしゃぎながら店内を見て回るが、はっきり言って我が輩は暇だ・・・
店内を見ていたヤコの脚がショーケースの前で止まり動かなくなる・・・
我が輩が後ろから覗き込めば、ヤコはケースの中のペンダントを食い入るように見つめていた。
「ヤコ、それは食い物ではないぞ?」
「当たり前でしょ!! 綺麗だから見てたの!」
「そうか?今にも涎を垂らしそうな顔をしていだぞ?」
「え?嘘っ!!」
ヤコは慌てたように口元を拭う・・・
「で、それに決めたのか?」
ヤコが見ていたペンダントを指差し我が輩が問うと
「へ?叶絵のプレゼントはこれじゃ無いよ? こっち!」
ヤコはいつの間にかプレゼントを選び、店員にラッピングを頼んでいたようだ・・・
だが、ヤコはまだケースを見ている…
「それが気に入ったのか?」
「…うん、でも今月はお小遣いピンチだから…」
プレゼントのラッピングが終わると、ヤコは名残惜しそうにしながらもショップを後にした。
翌日、ヤコが学校へ行っている間に昨日のショップへ脚を向ける。
何となく昨日のヤコの様子が気になったからだ…
店員に頼みケースから出してもらい手にとって見るが、別段変わったところも無い普通のペンダントだ…ヤコがこれの何処に惹かれたのか全く検討も付かん…
…だが…
「すみません。これを下さい。」
生ゴミ以外は基本無頓着なヤコの珍しい姿に、『たまには良いか…』と我が輩も思ってしまい、つい購入してしまった…
我が輩も優しくなったものだ…
「ただいま…。ネウロ。あかねちゃん。」
ヤコの声が心なしか沈んでいるような気もするが、
「…ヤ…」
我が輩はヤコに呼びかけようとして言葉に詰まった…ヤコは今にも泣きそうな顔をしていた。
「…ヤコ?なにかあったのか…?」
「…帰りにね、昨日のお店に叶絵と行ったら、あのペンダント売れちゃってたの…」
ヤコが落ち込んでいる理由が件のペンダントだと判り、我が輩は楽しくなる。
これを見せたらどんなに喜ぶであろうか…
「買いに行ったのか?」
「…今月は無理だから、お店に来月まで取り置きしてもらえないか聞こうと思ったら・・・」
我が輩はヤコの目元に浮かぶ涙をそっと拭ってやると、
「…ヤコ、我が輩から貴様にプレゼントをやろう!」
我が輩はヤコの首に手を回し、ペンダント着ける。
「・・・これ…」
ヤコは心底驚いたとういう表情をした。
「・・・欲しかったのであろう?・・・」
「…貰っていいの?…」
我が輩が頷くとヤコは
「ありがとネウロ!!!」
我が輩の首にぶら下がるように抱きついてきた…
我が輩、不覚にも…「たまに」ではなく「毎日」こんなのも良いかと思ってしまった…
「ヤコ、何故そのペンダントが良かったのだ?」
他にも沢山あったのに、何故?という疑問が頭から離れない…
「…ったから…」
「何だ?…」
「このペンダントのマラカイトがあんたの瞳の色だったからだよ!! ああ、もう恥かしい!!」
「・・・・・・」
ヤコの言葉に多分紅くなったであろう自分の顔を隠すために、我が輩はヤコを抱き締め。その口唇に口付けをした…
end
(2009.4.18)
よこぴ様、素敵なお話をありがとうございます!
戻るか?