夢で逢えたら

 そしてとっぷりと完全に夜になってしまった頃、弥子ちゃんは目を覚ましました。

「ん……」
「ようやく起きたか、ケジラミめ」
「あ…ネウロ……」

 トロイにふんぞり返っているネウロさんに、寝ぼけているのか弥子ちゃんがふにゃりと笑いかけました。
 それがすごく意外な反応だったのでしょう。ネウロさんは一瞬目を丸くして、一足飛びで弥子ちゃんの隣に移動しました。すると、弥子ちゃんはなにやらネウロさんの腕を掴んで。

「ネウロ……ネウロだ。触れる……」
「貴様……とうとう頭の中までウジ虫でいっぱいになったか……」
「ネウロの……夢、見てた」
「…………ほう」
「でも、夢の中じゃ触れなくて……って、あれ? 何で私、裏表逆に服着てるの!?」

 あ、いつもの弥子ちゃんらしい勢いがでてきましたね。

「あ……そっか、それでか……」
「む?」
「あっ! いや、なんでもな…ああああ、言う言う! 言います!!」
「最初からそうすればいいのだ」

 刃物に変えた手を元に戻して、にっこりと微笑むネウロさん。それに対して弥子ちゃんは、視線を彷徨わせて、ついに観念した、といった風にぽつり、と声を出しました。
「おまじない……あるの……」
「まじない?」
「服を裏返しに着て寝るとね……その…す、好きな人の夢が見られるの……」
「…………」
 弥子ちゃんの顔は真っ赤です。ネウロさんも、普段面と向かってそんなことは言われないので面食らっている様子……と思ったら次の瞬間。

「ふ……フハ、フハハハハ……」
「ね、ネウロ?」
「ここまで我が輩と貴様がシンクロするなど……魔人も堕ちたものだ」

 自嘲気味に笑って、ネウロさんはテーブルの鉢植えを指しました。

「あれはさぎそうという花だ。知っているか?」

 首を横に振る弥子ちゃん。どうやらあの鉢植えはネウロさんが持ってきたもののようです。

「ウジ虫の脳みそでは花言葉など知るまい」
「う、うじむ……うん…知らない……」

 素直にしゅんとなった弥子ちゃんをふわりと抱きしめて、ネウロさんは穏やかに囁きました。

「夢でも貴様を想う――というのだ。忘れるな」

++ fin ++

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一ヶ月とか大嘘こいて申し訳ありません!!!
結局夏の花…「さぎそう」になりました。



戻るか?