「ああ――っ……」
今日も今日とて、壁の中でドキドキしながら、お二人の情事の音を聞いていました。いえ、聞こえてきちゃいました。
えー……そして、どうやら一段落したようです。
そろ〜っと壁から出てみると、気を失った弥子ちゃんを、とろけそうな優しい目でネウロさんが見つめていました。弥子ちゃんの目の前では見せない顔です。見せてあげれば絶対弥子ちゃん、もっとネウロさんの虜になっちゃうと思うんですけどね……。ネウロさん、意外と照れ屋さんですよね。
コンコン
突然、扉をノックする音が聞こえてきました。お客様がいらっしゃったようです。
ちょ…い、今はまずいです!!
ネウロさんは素早く自分の身支度を整え、全裸の弥子ちゃんを毛布でぐるぐる巻きにしてソファに寝かせました。脱がした服も毛布に一緒にくるんで。
あの……今、もう7月ですよ……。ネウロさん、自分が一億度に耐えられるからって……。
弥子ちゃん、うなされてたりしないでしょうか……。私は壁の中に引っ込んでいるのでどうすることもできません。
「すいません、先生は本日体調を崩しておりまして……」
どうにかお客様はお帰りになったようです。おや、今気づきましたが、何か白い花の鉢植えがテーブルに置いてありますね。手土産だったのでしょうか。
「フン……まったく、タイミングの悪い客だ」
『あの……』
「……なんだ」
うう……ネウロさん、機嫌悪そうです。そりゃそうでしょうが。
『弥子ちゃん、毛布から出してあげた方が……』
「む。なにやら体液でベトベトではないか」
その体液の三分の一くらいは貴方のですよ、とは口があっても言えません。
くるんでいた毛布で弥子ちゃんの体をひとしきり拭いた後、服を着せてあげる光景は微笑ましいのですが……。何せ脱がせ方が乱暴だったもので、裏表が逆になってしまっています。
「間抜け面で暢気に寝おって。主人に手間をかけさせておきながら……」
ぶつぶつ文句を言っていますが、ネウロさんの目は相変わらず優しいです。そして、汗とか……とか、不快だったでしょうに、弥子ちゃんもなんだか微笑んで寝ています。
続く→