壁からはみ出してるおさげが嬉しそうにぶんぶん揺れる。
「フム、よくやったぞ、アカネ」
どうやらネウロの手伝いが上手くいったようで、ネウロがあかねちゃんの髪を優しくなでて、上機嫌で労いの言葉をかけていた。
ネウロは、あかねちゃんにはすごく優しいんだ。
なんだかんだと気を遣うし、DVもない。少し無理難題を言っても、あかねちゃんは優秀だからすぐこなしてしまうし、それに対してネウロも満足そうだ。
立場としては助手と秘書なんだけど、親しげなその様子はなんだか恋人同士のようにも見えて。
大好きなはずのあかねちゃんに、一瞬でも嫉妬をしてしまう自分がすごく悲しい。
ネウロは、私を優しく扱わないから。
生傷が絶えないほど毎日のDVに加え、『謎』の気配を見つければどんなところにだって引きずって無理矢理連れていかされる。
私を抱くときだけは……少しだけ優しい気もするけど。
いやいやいやいや! 散々恥ずかしいことさせられたり、自分勝手に始めようとしたり!!
……って、私が恥ずかしいこと思い出してる間も、ネウロとあかねちゃんはまだ楽しそうに戯れていた。
本当に……私がお邪魔虫なんじゃないだろうか……。
「何をそんな見苦しい顔をしている、ウジ虫が」
「ぎゃーっ!!」
突然、ネウロの手が伸びてきて、私の頭をがっしり掴んで強引に談笑の場へ引き寄せられた。私、考えてること顔に出しちゃってたんだ。
『弥子ちゃん、そんな心配必要ないから大丈夫だよ!』
しかもあかねちゃんにお見通しだ……。うう、恥ずかしい。
「む? 何のことだ、アカネ」
「あーーー! いやいやいやいや、何でもないっ! 何でもないよ、ね! あかねちゃん!!」
慌てておさげを振るあかねちゃんをガシッと鷲掴みして、もう片方の手で私の頭をギリギリと締め付けて、殺気たっぷりににっこり笑うネウロ。
ことの顛末を話すと、案の定、心から呆れたという溜息を吐かれた。
「やはり貴様は豆腐だな」
「ぐっ……」
「アカネは我が輩の瘴気でよみがえった命、いわば我が輩の子も同然だ」
「あ……そっか。なんだ……」
「父と子が戯れていて何の問題がある?」
年頃の娘は父親に反発……とかは言うだけ無駄だよね、きっと。あかねちゃんの歳も解らないし。
「貴様がアカネの世話をするのも、母親だと思えば当然だろう?」
「え」
もしもし? 今なんて言いましたネウロさん?
「む、今度は何だ? 顔がやけに赤いが……」
「なななな何でもないっ!!」
私はくるりと後ろを向いた。だって、自分を父だと言って、私を母親って言ったってことは、ネウロは、その……。
「我が輩が夫では不満か?」
後ろからぎゅって抱きしめられて、からかうように囁かれた。
解ってるんじゃん、全部!!
でも、なんかホッとした。これってネウロにも母(?)性本能みたいなものがあるってことでいいのかな……。
あと、ネウロのお嫁さんは私で確定、だよね?
++ fin ++