……またですか。
「やこ、おそいぞ!」
ネウロが、今度はちっちゃいお子様になってました。でも中身はネウロなので、態度が大きいのは変わりません。
……なんて状況説明をしている場合ではなく。
「弥子ちゃん……もしかして、その……」
「探偵と助手の子供か?」
笹塚さんが言葉を濁しているのに、相変わらず空気が読めずストレートにぶつけてくる石垣さん。
そう、今、事務所に来ているのは私だけではないのだ。そんなこと、ネウロならきっと解っていたはずだ(魔界虫で)。
「おじさんたち、けいじさん?」
「おじ……うん、もうおじさんだな、俺……」
「おじさんじゃねーよっ! 探偵、何だよこの子……」
「けいじさんって、つよくてかっこいいんだよね!!」
きらきらと目を輝かせて、舌足らずに話しかけるちびネウロ。100%演技なのは解ってるんだけど……。
「おう、強くて格好いいんだぞ! あと、俺はお兄さんだからな!」
案の定、調子に乗る石垣さん。隣で笹塚さんがちょっと呆れ顔だ。
しかし次の瞬間、笹塚さんのポーカーフェイスがあからさまに崩れた!!
「やこー、だっこ」
ちびネウロはひょいっと私の肩に掴まって自ら抱っこさせられにきて、私の胸に頬ずりしてきたのだ。
「ちょっ……や、そこ……」
「やぁらかくてきもちいいのだ」
上機嫌で胸に顔を埋めるちびネウロ。甘えてくる様に動揺を隠せない。
だけど、見てしまった。ふと顔を上げて振り返って、笹塚さん達に向かって真っ黒な笑顔を見せたのを!!
こいつ……子供の特権を利用して新たな嫌がらせをしたいだけだ!!
「ちょ、やめ……ぁ……」
笹塚さんは驚愕の表情で固まっていた。石垣さんはなにやらプレイだの何だの言い出した。
……無理もない。私が我慢できずに甘い声を出してしまうからだ。ネウロはわざと、私が感じるように胸に甘えてくるのだ。
「や、弥子ちゃん……話は、また今度で…いい、わ……」
「探偵、意外とマニアッ……」
「行くぞ、石垣」
そう言うと、光の速さで二人は事務所から出ていった。
その後のことなんか、もはや言うまでもない。
++ fin ++