今、私は自分の部屋のベッドで横になっている。いつもなら事務所にいる時間。いつもならネウロに虐待されてるのだろうけど。
なんと、風邪を引いて熱を出して倒れた私を、ネウロが看病してくれているのだ。
「どれ、熱はどうなのだ?」
私を気遣う言葉と共に強烈な頭突き……。あ、虐待されてるか。
「痛いってば……」
「フハハ、文句が言えるようにはなったようだな」
おでここつん、なんてやったって、人間の体温なんか解らないくせに。形から入りたがるんだから。
「過剰な水分で煮込んだ米を持ってきたのだが……食べられるか?」
お粥のことかな……。こくり、と首を縦に振って、緩慢な動きで上半身を起こした。さりげなく背中を支えてくれるネウロの左手が、あたたかい。
「さあ、喰え」
「もがっ…熱ッ!!」
熱々のお粥を、金属のスプーンですくって口に突っ込まれた。絶対やられると思ってた、なんて予想はしても熱いものは熱い。せめて、れんげ使おうよ……。
それでもなんだかんだで、お粥を無事(?)食べ終えた。
「唇が荒れているな。……ああ、先程の米でやけどでもしたか」
すっと親指で唇をなぞられて、触れるか触れないかの、ふわりとしたキスをくれた。全然痛みを感じない口づけは、私を案じてくれているのだと容易に解って、それまでの乱暴な看病を帳消しにしても良いかも、なんて思ってしまう。
「フム……、対症療法のクスリも飲ませたことだし、あとは……」
「ぎゃっ!」
いきなり腕を引っ張られて、ネウロの胸に倒れ込む。そしてネウロは私の服を問答無用で脱がし始めた。
「ちょっ! ね、ネウロ! 何すん……わっ」
裸にされて、タオルを頭からかぶせられた。そのままわしわしと全身を拭いていく。汗を拭いてくれてるんだ、とそこでようやく解った。
「何を期待したんですか、先生?」
「なっ、何も! 期待なんて……」
「おや、また熱が上がってしまいましたか」
誰の所為だ、誰の。
そうして、手近にあった制服のYシャツを着せてくれた。タンスを漁られないだけマシだろうか。
「ちょっと…足が寒いよ、これ……」
「問題ない」
「何がっ……」
それが当然であるかのように、ネウロは私の寝ているベッドに侵入して、足を絡ませてきた。それと、腕枕も。
「まだ寒いか?」
「……ううん」
首を横に振って、顔をネウロの胸に寄せた。優しく抱きしめてくれて、何だかとても安心する。
そのまま、私は穏やかな眠りについた。
……その後、風邪の治った体をいつも以上に酷使させられたことは言うまでもない。
++ fin ++