エサをあたえないでください

 時季はずれの転校生って本当にいるもんだねぇ、なんてのんきなことを言っていた朝の教室。今時転校生ごときでクラスが大騒ぎ、なんてないけど、それにしても私はのんきすぎた……らしい。

 その転校生はなかなかのイケメンで、先生に紹介されてたった数分でクラスに溶け込んだ……と思っていたら、その直後。

「あー! 女子高生探偵!! 桂木弥子でしょ!? うわ、やべ……俺ずっとアンタのファンでさ……」

 フレンドリーだった周りの目が、一瞬にして奇特なものを見るそれに変わった。

「かっつらっぎさーん、次の移動教室連れてって」
「え、あ、うん……こっち……」

 それ以降、べったりと私にくっついてきて……正直困る。好かれて悪い気はしないけど、なんかいろいろとやりづらい。あと、すごーく自然なんだけど、さりげなくボディタッチされると、変に意識してしまう。

 それにしても……こうまでくっつかれると、学食のカツカレー食べづらいんですけど……。

「その大食いの時の顔、すげー可愛いって思って」

 そっ、そんなこと言われたら余計になんか恥ずかしいよっ。多分、今の私の顔、紅くなってるんじゃないだろうか。そんなキラキラした目で見ないで……。

「先生! お食事のところすいません、ちょっと急用が!」

 助かった! とか思ったのはほんの一瞬。聞こえた声がネウロのものだと認識したとたん、血の気が引いた。

「あっ、あ、アンタ、何学校まで来てんの!」
「ですから、急用です」
「ちょっ、ネウ……んっ」

 学食で……こんな、生徒も先生もおばちゃんもいるところで、堂々とキスされた。そこにいた誰もが硬直したのだろう。転校生ももちろん凍り付いている。

「今は、これで我慢なさってくださいね」

 にっこりと助手スマイルで言われて、この後何されるかなんて容易に想像できる。

 そうして、ネウロに強引に引っ張られる形で、学校を出た。あーあ、また早退しちゃったなぁ……。

続く→



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