「ふふ……、そんな心配しなくてもいいですよ」
「え?」
「探偵さんが神秘的ってお話でしたの」
娘さんは柔らかく微笑んで、私にそう言った。それは、余裕の笑み?
「ごめんなさいね。お話が突飛で、ついのめり込んでしまいました」
「や、そんな、謝られるようなことは……」
「やきもち、焼かせてしまったでしょう?」
核心を突かれ、思わず黙ってしまう。解りやすいって、恥ずかしい……。
「探偵さんが羨ましいです。こんなにも入れ込んでくれる人がいて」
「え?」
「あ、あの、もうお話は――」
突然ネウロが割り込んできた。珍しく動揺してる感じがする。でも、娘さんは構わず話し続けた。
「さっきまでずっと、探偵さんがいかに素敵か、ってお話をしていたんですよ」
「あ、いや……」
「ふふ、助手さん照れちゃって。探偵さん、すっごく愛されてますね。もう、ごちそうさま」
ネウロは、何だかバツの悪そうな顔をして、そっぽ向いていた。それが、どれだけ私のことをそんな風に話してしまったかを雄弁に語るようで。
顔が熱くなるのが解る。心臓が跳ね上がる。さっきまでとは違う、心地よい胸の疼き。
「是非いらしてね。うちのホテルのバイキング」
「へ?」
もしかして、「例のもの」って、それ? ……私のために?
ふと、二人が喋ってるところを思い出した。ネウロってば……。
楽しそうに喋ってたよね?
どうしよう。嬉しい。涙が出そうなくらい。もう、ホントに。だらしなく頬が緩んでしまうよ。そんなにやけた顔で横を見れば、ネウロがちらっとこっちを向いて、若干顔の血色が良くなった……気がする。めちゃめちゃ睨まれたけど。
ああ、後で絶対虐待されるんだろうけど、それさえも楽しみになっちゃう。私おかしくなっちゃったのかも。今きっと、片栗粉より蕩けてる。
だって、ほら、事務所に帰れば二人きりだもん!
++ fin ++
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