伝えたいことがあるんだ

 ほの暗い部屋に、ミラーボールと大きなテレビ。ガラスのテーブルの上には、分厚い本と、小さな機械と、マイクが二本。そう、今二人がいるのはカラオケボックスの一室である。
「ふむ、人間は面白いものをよく思いつくな。それでこそ、究極の『謎』を生む種族だ」
「確かに面白いけど……何でまたカラオケ?」
「テレビで少年が言っていたのだ。『歌はいいね……歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ』と」
「何で今更そのアニメ……? 映画の方……?」
 言わずもがな、十四歳の少年少女が兵器に乗り込み、戦って、よく解らないことになっているあのアニメである。
「まあ、良い。そら、貴様もデンモクを持て」
「何でそんなノリノリなのよ……もう……」

 二人はデンモクを操作し始める。ネウロの表情がいつになく真剣であることに、弥子は笑いを堪えていた。


「うむ、これだ」

Pi Pi Pi Pi Pi Pi ……

「…………え、ネウロ、これ歌うの?」
「む? 最初は、歌詞も曲もくだらない、盛り上がる曲というのを入れるのだろう?」
「まあ、そうだけど……。*ってネウロから想像できなくって」


「じゃあ、私は無難に……」

Pi Pi Pi Pi Pi Pi ……

「…………貴様、それはわざとやっているのか?」
「へ?」
「何故、むしぃぃ〜、で音がはずれるのだ? 不協和メロディになっているぞ」
「え……原曲通り……なんだけど……」


Pi Pi Pi Pi Pi Pi ……

「今度は何?」
「お前も蝋人形にしてやろうか……!!」
「!!?」

聖飢魔II「蝋人形の館」

「冗談に聞こえないよ……」
「フハハハハ」


Pi Pi Pi Pi Pi Pi ……

「あ、あんま真剣に聴かないでよ。恥ずかしいから……」
「む?」

続く→



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