何で……何でこんな事になってるんだろう……。
こんな事ってのは、今の状況……何故かネウロが学校に来て、私の隣に座ってる。そして、それをドーナツみたいに取り囲む女の子達からの質問攻め。
「弥子、一体何処でこんないい人捕まえたのよ?」
「え、いや、何処って……」
「僕の方から先生を訪ねたんですよ」
「嘘っ! 弥子の何処が良いんですか!?」
「先生は素晴らしいお方ですよ。才色兼備と言いましょうか……」
「え……才色……?」
「その推理力もさることながら、こんなに可愛らしい方は他にいらっしゃいませんよ」
「ないない! そんなことないって!! 何言ってるの!?」
「またまた、ご謙遜を」
「うん……それは人それぞれだよね……」
「まあ、弥子は可愛くないわけじゃないしね……」
自分でもそう思ってるから何も言えないけど、実際その反応を目の当たりにすると凹むね……。
そもそも、なんでこいつはこんなノリノリなの? 語尾にハートマークがついてたりして、私はとっても恥ずかしいんだけど!
「もしかして、お給料がすごく良いとか……?」
「いえいえ、僕は先生のお傍にいられるだけで満足ですので。先生自ら報酬をお与えになるのは秘書くらいでしょうか」
「え、秘書がいるんですか!?」
「ええ、とても有能で、彼女の淹れた紅茶は先生のお気に入りの一つです」
……うん、そうだね。私が週五回トリートメントしてるんだもんね。こいつの物言いに嘘は一つもない。……語尾のハートマーク以外は。
「あっ、もしかして、秘書さんの方がお目当てとか!?」
「そっか! 有能な美人秘書さんがいるなら納得できるわ」
ぎくり。
一瞬、動揺してしまった。それは、だって、私もたまに思うんだもの。ネウロはあかねちゃんにだけ、すごく優しいから……。
あかねちゃんに私が勝てるところなんて一つもない。有能で、可愛らしくて、色気もあって……。プレゼントだってもらってるんだもんね。私なんか、どうせ奴隷……。
「先生?」
「え?」
ネウロの、戸惑っているような声が聞こえた。周りも何だかざわついている。ふと顔を上げたら、頬を雫が伝った。
「あ……」
「弥子……ごめん」
「うん、うちらちょっと悪ノリしちゃった……ごめん、弥子」
あ、なんかみんな暗い雰囲気になっちゃった。いけない。こんな、みんなに迷惑……。
「だ、大丈夫!! 何ともないから! ちょっと目にゴミが入っただけだから!」
「先生……」
ふわり、ネウロが私の顔を隠すように、私を抱きしめた。ぎゅっとネウロの胸に顔を押しつけられて、ネウロの表情が、見えない。けど。
「僕は、先生ただ一人だけを愛していますから」
その言葉は、みんなに向けて? それとも……私に向けて? どっちでもいいか。今度は嬉しくて、涙が止まらない。
後日、惚気話として学校中に知れ渡ってしまったのはどうしたものか。
++ fin ++