ネウロの告白を受けた翌日、弥子は朝から気分が高揚していた。昨夜の抱擁を思い出しては一人恥じらう。その様子は授業中にも現れ、そうなると当然、叶絵他クラスメイトに訝しがられ、先生の目にもとまる。
「えー、そんなぁ……」
放課後の補習を喰らってしまったわけだ。
早く帰りたい、早く事務所に行きたい、早くネウロに逢いたい。それで頭がいっぱいの彼女にとって、補習はネウロの虐待以上の拷問にも思えた。
なかなか進まない時計。一人じゃ解けない問題。解放された頃には、空は真っ暗。もうすっかり疲れきってしまって、大きな溜め息と共にうなだれて玄関へ向かう。
「先生、お待ちしておりましたよ」
不意に聞こえる声。顔を上げれば、夜目にも麗しい、青いスーツ姿。にこやかな助手スマイルはこの上なく嘘くさいが、それでも弥子は嬉しくて。
「ネウロ!!」
彼女は走って彼に駆け寄った。
「まったく、貴様はここまで空が暗くならんと補習が終わらんのか。主人を煩わせおって」
「ごめん……」
彼女が傍に来ると、途端に素に戻る。悪態を吐くが、何故ここにいるのかと問われれば、彼もまた彼女に逢いたい一心だった。
「あ、あれ? ネウロ、何処行くの?」
当然事務所に向かうものだと思っていた弥子は、ネウロの進行方向に戸惑った。それは、彼女の家に向かう道だったのだ。
「こんな時間に依頼人なぞ来ないだろう」
「あ、そっか……」
「それに、こんなに真っ暗なんです。ワラジムシとは言え、先生も一応女子高生ですから、僕が送って差し上げます」
これこそがネウロの真意であった。助手口調になると何か企んでいる、と弥子は経験から知ってはいたが、彼と一緒に家路につくのも悪くないと思い、あえてツッコまなかった。
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続く→