もはや君なしじゃ始まらない

 思考の整理ができないまま、お城を出て、車で次の目的地へ向かう。もう辺りはすっかり暗い。これから何処に連れていかれるんだろう……。帰るんじゃないみたいだけど。
 ふと横を見ると、端正な横顔。運転してるときの顔って好き。ほっぺにキスしたくなったのは広末涼子だっけ? その気持ち、今ならちょっと解る。ああでも、この後のしっぺ返しが怖いなぁ……。

 真っ暗で、何もない駐車場に着いた。ネウロは器用に車を止め、今度はここです、と私を促した。
「え……何もないよ?」
「ここから少し歩かなければいけないんですが……なに、1kmもありません。ですが、お辛いようでしたら、僕がおぶって……」
「いやいやいや! 歩くよ!」
 少し残念そうなネウロ。借りを作るのが怖いんだってば!
 遊歩道を二人でゆっくり、手を繋いで歩いた。そうして着いた場所は。
「天文台…?」
 大きな施設へ入り、指示された部屋へ行くと、そこには大きな天体望遠鏡。
「現在はアルビレオの二連星が観測できます。アルビレオというのは、はくちょう座の星で、肉眼で見ると、単一の星のように見えます。この二つの星は共通重心を持ち――」
 (それ以降は理解できなかったんだけど)そう説明してるのはここの研究員なのかな。望遠鏡を覗くと、小さな星が二つ寄り添って輝いてるのが見えた。
「ずーっと一緒なんだね。いいなぁ……」
 小さく呟いた。ネウロに聞こえたかどうかは解らない。

 そしてディナーは高級ホテルでフルコース。ネウロは食べられないから、必然的に私が二人分食べるわけで。フルコース二人分はさすがに腹八分目まで行くよ。ああ、美味しいなぁ、ちくしょう。この幸せの後に、どれだけ恐ろしいことが待ち受けているんだろう。

 さらにさらに、最上階スイートですってよ!!? 私もしかして、ここで一生分の幸せ使い果たしてる!?

←戻る続く→



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