もはや君なしじゃ始まらない

「先生、着きましたよ」
 ネウロに起こされ、車を降りた。目の前には……お城!?
「え……な、何? 何処ここ……」
「ロックハート城ですよ、先生」
 何処かで聞いたことあるようなないような……あ、ドラマのロケとかで使われてたかな? 一応、日本だよね。日本語書いてあるし……。
「さあ、入りましょう、先生」
 ネウロに導かれるまま、場内へと入った。時刻はちょうどお昼で、そのままお城の中でランチとなった。美味しくて、ちょっと警戒心が緩んだ。
 それから、場内を二人で見て回った。その間、ずっと手を恋人繋ぎしていて……正直落ち着かない。ネウロはいたくご機嫌そうなのだけど。……意識しちゃってるのは私だけなのかなぁ。
「先生、ここ登ってみましょう!」
 そう言って見上げた高い塔。一番上の窓からベルが見える。私の返事もろくに聞かずに、ネウロは塔に入っていく。もちろん手は繋ぎっぱなしなわけで……一緒に最上階まで登った。
 二人でベルを鳴らして、上機嫌のネウロ。やっと手を放したかと思ったら、ぎゅっと抱きしめられて。

「愛してます、先生……」

 耳元で囁かれた。私はきっとタコみたいに顔を赤くしてる。愛してるなんて……!! 好きって言葉さえ滅多に言われないのに!! 何!? 何なの!?
「……先生は、僕のことお嫌いですか?」
 どうすることもできずに黙っていたら、そんな淋しそうな声で言われて、焦った。
「え、いや、あの……わ、私も……えと、その……あ……」
「あ?」
 そ、そんな期待した声で聞き返さないで……。

「あ……………愛してる……」

 小さく呟くので精一杯。きっと、反応見て楽しんでるかしてるんだ、こいつのことだから。そうに違いない!
 ちらりとネウロの顔を見たら、ますます顔が熱くなるのを感じた。だって……だって、ネウロがこれ以上ないってくらい嬉しそうに笑ってるんだもの!!
 そして優しく抱きしめられて。どれくらい経っただろう。長いような短いような。恥ずかしいような、このままでいたいような。

 (この塔でベルを鳴らして愛を誓うと、その心が永遠のものになる、って知ったのは帰ってからだった。)

 それから、お土産屋に行って、色々眺めた。パワーストーンがたくさんあって、トルマリンを見ていたら。
「先生。トルマリンでマイナスイオンはウソ化学ですよ」
 ……語尾にハートつけて言うな、そーゆーこと。
 せっかくだから何か買っていきましょう、って言うから、思わず手に取ったのは、ネウロの眸と同じ色したマラカイト。綺麗な球に磨かれている。本当に、眸みたい。
「じゃあ、僕はこれを」
 そう言ってネウロが手にしたのはシトリンだった。
「僕も、先生の眸の色を」
 そんなことはにかみながら(!!?)言われたら、顔を赤くするしかないじゃん! シトリンの宝石言葉って「甘い思い出」だし。何なの、このSの欠片もない、だだ甘な魔人は!

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