もはや君なしじゃ始まらない

 今日は土曜日。学校は休みだけど、探偵業は休んでいられない。これから事務所に行く準備だ。
 昨日、帰るときにネウロに渡された紙袋。「明日はこれを身につけてこい」って、また何か変な情報仕入れたのかな……。

「…………えーーっと」

可愛いフリルのキャミワンピ
ピンク(人肉色?)のボレロ
黒のオーバーニーソックス
天使の羽のネックレスとブレスレット(多分、シルバー)

 ここまでは良い。これらを取り出して、紙袋に残ったもの。これはどう見ても……勝負下着。何故……。しかもサイズピッタリでやんの。ご丁寧に寄せてあげるタイプだし。ホント、ネウロってば私の体知り尽くしてるなぁ。いきなり顔が熱いよ、もう。
 でも、事務所に行くのに何故こんな格好? 新しい嫌がらせ? 可愛いから許すけど。

「ネウロ、来たよー」
 事務所に着くと、そこにはカジュアルなシャツにデニムのパンツ、そして髪を後ろでまとめたネウロがいた。
「え、ちょっ……何?」
「おお、来たか、ヤコよ。ちゃんと身につけてきたな」
 上から下まで舐めるように私を見るネウロ。そして、にっこりと笑った。こ、これから何されるんだろう……?
「とても良くお似合いですよ、先生」
 助手モードでにっこり褒められた!! ホントにこれから何があるの!!??
「では、行きましょうか」
 そう言って、手を差し出してきた。どうして良いか解らずにいると、優しく手を取ってくれて、そのまま事務所を一緒に出た。
 訳がわからないまま、引かれる手をそのままについていくと、見慣れない一台の車。どうぞ、と促されて助手席に座る。
「何? 何処行くの?」
「先生、どうぞ今日は僕に肩を預けてください。出発しますね」
 え、ネウロの運転……HAL事件の時は散々な目に……あれ? 普通に安全運転だ。何を企んでいるんだろう。目的地くらい教えてくれたって良いのに。何か怖いな。
 手持ち無沙汰にしていると、ネウロはちらりとこっちを見て、優しく言った。
「退屈でしたら寝ていただいても構いませんよ。着いたら起こしますから」
「そ、そう……」
 ネウロの言う通り、少し力を抜こう……。シートの背を少しだけ倒して、そこにゆったり体を預けた。BGMは綺麗なピアノ曲。何だっけ、この曲。聞いたことあるんだけど。まあ、いっか……。

続く→



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