邪心(OK! スレンダー)

 今日は学校の文化祭。うちのクラスはカフェをやる。やるんだけど……私はウエイトレスはおろか、裏方にすらならなかった。てゆーか、立ち入り禁止を食らった。理由は言わずもがな。
 でも、どうせだから楽しみたいし、無理言ってウエイトレスの格好だけさせてもらったんだ。その格好のまま、他のクラスのたこ焼きやらお好み焼きやらを食べまくった。

 そうして、クラスに戻ってみたら。何だか人だかりができていて。

「あ、先生!」

 その中心に、おなじみの青いスーツ、ネウロがいた。
「ネウロ!? 何やってんの、こんなとこで」
 駆け寄ると、人だかりがざわついて。え、私何か変なこと言った?

「やっぱり、桂木さんの助手なんだ」
「えーっ、弥子ってばこんなイケメンと毎日一緒なの!?」
「弥子、うちのと交換しようよ!」
「弥子にはもったいないっ」

 好き放題言ってる人だかり。よく見ればそのほとんどが女子だ。まあ、この状況は少なからず予想していた。だからネウロには文化祭だって言わなかったのに。

「ちょっと! うちのクラスでおもてなししようよ!」

 元気のいいクラスメイトが言い出した。女子はもちろん全員賛成。私マル無視。
「さ、どうぞ、うちのカフェへ!」
「弥子、今日くらい貸しなさいよ。こんないい男滅多に拝めないんだから!」
 そうして有無を言わさず、ネウロはカフェへと引きずられていった。

 教室なのだけど、扉は常に開放していて、中の様子は特に何もしなくても見られる。見られるんだけど……。

「ネウロさんっておいくつなんですかぁ?」
「もしかしてハーフだったりしますぅ?」

 この辺はまだ良い。ネウロも適当にごまかしている。

「弥子がパートナーで退屈しません?」
「あの子、色気が食い気につぶされてるし」
「それに弥子じゃ目の保養できないでしょ」
「あたし、弥子とは違う意味でのパートナー立候補!」
「あ、ずるぅい。私も!!」

 身近な世間の評価を聞いてしまった感じだ。確かに、私に魅力なんてないんだよね。少なくとも美人じゃないし。体はドラム缶だし。

 ネウロは私なんかに執着しなくても、よりどりみどりじゃない? ホラ、今だって、私より可愛くてスタイルのいい子が立候補してるし。

 ねえ、そんなに愛想振りまかないで。
 否定せずににこにこ笑ってないで。
 毅然とした態度で断ってよ。
 それとも、私よりいい子を見つけたの?

 ――あり得ない話じゃ、ない……。

続く→



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