ベビーベッド

ごほっごほっ……

 事務所に咳払いが響いた。私じゃない、ってことはネウロ?

 ネウロを見やれば、頬が少し赤くなって、目は虚ろ。すごくだるそうにしている。

「ネウロ? どうしたの……?」
「……単なる体調不良だ。気にするな」
 声も掠れてて、喋るのも辛そう。
「風邪、かな……あっ!」
「何だ」

「と……鳥インフルエンザ……?」

 ギロリ、と睨まれた。でもその目にいつもの迫力はなくて。

「地上に馴染んだとはいえ、我が輩は魔人だ。地上のウイルスなどに冒されるか」
「そ、そーだよね……でも、風邪っぽいんだけど……」
「単に貴様らが言う風邪というものに症状が似ているだけだ」
 ネウロはこほこほと咳を交えながら話している。何だかいたたまれなくて。
「ネウロ、喋らなくていいよ。ソファでゆったり休んでよ」
 机に頬杖ついているネウロを、いささか無理矢理にひっぱって、ソファに寝かせた。

「おとなしく寝ててよ」
 私はそれだけ言って、給湯室へ向かった。症状が似ているなら、同じ対処法が効くかも知れない。
 あ、でも、クスリなんか効かないよね、多分。ビタミンとかも要らないだろうし……。地上のものが食べられるなら、いろいろ作れるんだけど。せめて喉のための大根蜂蜜とか……。

 結局、毛布かけて、氷枕を作ってあげることしかできなかった。

続く→



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