嵐の素顔

 ああ、やっと補習が終わった。一週間も事務所に行けなかったよ。また『謎』を逃した、とかでネウロにいじめられるんだろうな。

 なんて、ちょっと重い足取りで事務所へ向かった。

 いきなりの攻撃に備えて、ちょっと及び腰になりながら事務所の扉をそぉっと開けた。でも、中は至って静かで、正面のトロイにいつもいるはずのネウロが見えなかった。
「い、ない……?」
 中に入って、後ろ手で扉を閉めたら、壁のおさげが喜びに振り乱れてた。
「あかねちゃん!」
『弥子ちゃん、おかえり!!』
「ごめんね、事務所来られなくて。トリートメントしなきゃね! ……ところで、ネウロは?」
 恐る恐る聞いてみたら、あかねちゃんはちょっとくにゃっとなって、ソファを指した。

「……ネウロ?」

 ソファを見れば、ネウロがうつぶせで寝ているのが見えた。いくら新しいソファが大きくて快適でも、ネウロの体でうつぶせはちょっとキツイんじゃないだろうか。

 そろそろと近づいたら、いきなりネウロががばっと勢いよく起きあがって、私の手首を掴んでソファへ引き寄せた。
「ね、ネウロ!?」
 私の呼びかけには応えず、そのままぎゅっと抱きしめてきた。いつもより、ちょっと力が強いような気がする。

「ネウロ……?」
「…………」
「どうしたの?」
「…………」
「もしかして、具合でも悪い?」
「…………」

 ネウロは何も言わず、私の首元に顔を埋めた。一体どうしたんだろう? 髪飾りが触れてくすぐったい。何だか、その感触をずいぶん忘れていた気がして、一週間って長かったな、と思う。ネウロに抱きしめられるのも、一週間ぶり……。

「……あっ! そうだ、あかねちゃんのトリートメント!」

 ちょっと気恥ずかしくなって、わざと思いついたかのように声を出して、ネウロから離れようとした。だけど、少し体を離したら、もっと強く抱きつかれて。
「ね、ネウロ……」
「…………」
「あの、あかねちゃんの……」
 離れようとすればするほど、腕に力がこもって。行くな、と全身で訴えられてるのが解る。

続く→



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