---------
キャンドルに灯をともしましょう 思い出みんな照らすように
あなたのくれた微笑みで 泣きだしそうに見えるでしょう
---------
明日、私とネウロは結婚する。
結婚……か。出逢った頃は考えてもみなかった。いや、大多数の人がそうなんだろうけど。ネウロは人間じゃないから、余計に。結婚どころか、好きになることすら予想外だったよ。
「弥子。一杯つきあって」
お風呂上がりに、ソファにもたれてTVをぼやーっと見ていたら、お母さんが缶チューハイを二本持って、隣に来て座った。本当はこういう時はお父さんといるものかも知れないけど、とちょっとおどけて。
「弥子もさ、いつの間にか女になっちゃって」
缶を片手に、私の頬をつついてくる。お母さんは酔うのが早い。
「ネウロ君となんかいい雰囲気だな、って思ってたらさー。16でロストバージンなんて、一昔前……二昔くらい前? じゃ結構すごいことだったのよ」
「ちょっ……な、なんで16の時ってバレて……」
「解るわよー、そりゃあ同じ女だもの」
「お母さん……」
親子でこういう会話するのって、その……
も の す ご く 恥 ず か し い 。
お母さんはもうできあがってるから良いかも知れないけど!
「でもさ、ネウロ君が家来たとき、ちょっと笑っちゃったわね」
「うん……あいつ、変な方向に凝り性だから……」
ネウロがこの家に……お母さんのところに、結婚の了承をもらいにきたときのことだ。普段の青いスーツではなく、灰色のフォーマルスーツを着て、髪を後ろできちんとまとめ、大きな薔薇の花束を持って、ネウロは玄関に立っていた。ちょっと緊張してる風な演技までしちゃってさ。挙げ句の果てに土下座(ネウロが!!!)で「お嬢さんを僕にください!!」って。
お母さんと二人で思わず吹き出しちゃって、あとでお仕置きされたのを覚えてる。
「その割には、その後のことはてきぱきやってたわよねぇ。新居のこととか、式の段取りとか……しっかり者で安心したわ」
そう……その辺は全部ネウロがこだわりにこだわって決まっていった。
実家からも事務所からもアクセスが便利で、そこそこ上等なアパート。とりあえずの家具もそろっている。
そして、結婚式。いろいろなプランの演出を見比べて、結局自分でプロデュースしちゃったなんて。凝り性にも程がある。
「弥子……後悔しない、ね?」
少し目を伏せて、呟いた。
「しないよ、絶対」
私は語調を強く、はっきりと言った。ネウロとなら、後悔なんてしない。ネウロが、私を全身全霊で愛してくれるのが解るから。私が、ネウロに残りの人生を全部あげようとするくらい愛してるから。
明日、神様(魔人がいるくらいだから、いるかも)の前で、生涯離れないことを誓う。遠足の前日なんて比じゃないくらい、ドキドキしてる。こんなときくらい、ネウロも同じ思いでいると良いなぁ……。
---------
もう神様しか 二人を離せない
語り継がれる フォルクローレになる
---------
++ fin ++