なでなでなでなで…………。
「…………」
くしゃくしゃ……ぎゅうっ……。
「ね、ネウロ?」
「何だ、ヤコ」
さっきから、ネウロは私の頭をなでたり、髪をくしゃっとしたり、あげく抱きしめてきたりしている。しかも、ミジンコとかワラジムシとかじゃなくて、ちゃんとヤコって呼んでくれてる。
「えっと……な、なにかあった?」
「何がだ」
「え、いや、その……」
何だろう……大切なペットを愛玩してみたくなった感じ? 妙に優しすぎて、逆に怖い。
「ヤコ……」
大切そうに私の名前を呟いて。額に、瞼に、頬に、鼻先に、そして唇に、啄むように口づけてくる。
「ヤコよ……よくぞ今まで生きてきたな……」
「……え?」
また、ぎゅって抱きしめられた。さっきより強く。圧迫感が心地良い。私も、ネウロの背中に手を回した。
「ネウロ?」
「貴様が拉致されて……貴様のいない事務所は閑散としていた」
Xにさらわれたときのこと……かな。もしかして、淋しがってくれたの?
「貴様は確かに、貧相で、頭の中は豆腐で、パンの耳ほどの価値もない……」
私を抱きしめる腕に、さらに力がこもった。少し、苦しい。
「だが……それでいいのだ。貴様は、生きて我が輩の傍にいればいい。ただそれだけで……」
そして、また口づけ。今度は深く、長く、甘く。熔けてしまいそうな思考で、何とか考える。どうしていきなりこういうことになってるかは、この際どうでもいいや。
これってもしかして、ネウロからしたら最大の讃辞じゃない? 素直じゃない魔人が、ここまで言ってくれるなんて。
嬉しい。
嬉しくてどうにかなりそう。
ようやく唇が離れて、ネウロと見つめ合う格好になった。
「ずっと……ずーっと、ネウロの傍にいればいい? それが正解なら、私ずっと傍にいたい」
「ああ……完璧な解答だな、ヤコよ」
微笑みあって。そうして、またぎゅうっと抱きしめあった。
++ fin ++