浸食 -lose control-

 いくつもの事件を一緒に解決して、そうして今、ここで、ネウロと一緒にいる。自分の正体(なかみ)が変わったなぁ、とXに拉致されて改めて思った。

 私は、ネウロに染められている。

 ネウロはどうなんだろう? 少しは私に影響されてたりするのだろうか。

「どうした、ワラジムシ。さっきからこっちを見て」
 パソコンで作業しながら話しかけてきた。こちらを見もしない。私だけが、気にしている。なんか悔しい。
「別に……」
「そうか」
 なんて簡単なやりとり。なんとか、ネウロを動揺させてみたい。そう思った。
「ネウロ」
「何だ?」

「……愛してる」

 一瞬だけ、キーを打つ指が止まった……ような気がする。でも、すぐに作業は再開されて。
「そうか」
 たった一言。別に、ネウロから「愛してる」なんて聞きたい訳じゃないんだけど(本音を言えば一度くらいは聞いてみたいけど)、そういうのじゃなくて、もっと、こう、何て言うの? 漠然とした不安感。

 私がネウロを想っているほどには、ネウロは私を想っていないのかも知れない。

「ヤコ……」
 気が付いたら、ネウロが目の前にいた。ネウロの手が、私の頬に触れて。
「何故泣く……」
 私、泣いていた。いつの間にか。
「ネ、ウロ……」
 言葉が、でない。何を言ったらいいのか。ネウロが、そっと抱きしめてくれた。

「愛してる、と言えば満足なのか?」

 困ったようにネウロが呟く。私は何も言えず、ただ腕をネウロの背中に回した。

「そんな言葉で満足するのか? 貴様の想いはその程度なのか?」

続く→



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