力【やこ】

 ――“それ”に気づいたのはいつだったか。


「ギャーッ!! ネウロ! ギブギブ――!!」
「フハハハ、まだまだいけそうだな」

 ヤコを虐める。ヤコが悲鳴を上げる。そうすることで、何かが満たされていると感じるようになった。それが魔力であるということは、程なくして判明した。
 それからは、前にも増して積極的に嬲るようになった。虐待がどんどんエスカレートしていく。

「この、ドSッ! っぅ…」
「む。この程度で音を上げるようでは、まだまだ調教が足りんようだな」
「ちょ…やっ……」

 ヤコはぎゅっと目をつぶって、来るであろう衝撃に耐えようと体を強張らせる。その目尻に、うっすらとにじむ涙が見えた。

 その姿が、堪らなく――

「…………ヤコ」

 ゾクゾク、脳の奥を刺激する。

「ひぃぁっ!?」
 至近距離で名を呼べば、驚いて目を見開くヤコ。
「ネウ…んぅっ!?」
 気づいたときには、両手でヤコの頬を包み、唇を重ねていた。

 戯れに舌を絡ませたのがいけなかったのか。ヤコは全身を弛緩させ、崩れ落ちそうになる。その体を抱え上げ、後頭部をしっかりと固定して、深い口づけを強要した。
 無理な姿勢で強引に我が輩に絡め取られ、さぞ息苦しいのだろう。眉が悩ましげに寄って、頬が朱に染まる。

「ぅ……んふ…ぁ、ふ……んん……」

 唇の隙間から漏れる吐息に、全身が粟立つ。拠り所を求め彷徨うヤコの手が、我が輩のスーツの袖をきゅっと掴んだ。

 知らず我が輩の内に潜んでいた欲が、堰を切って溢れだした瞬間。


 その後、どうやらヤコの感情が昂るほど、我が輩も満たされるようだと解ってきた。
 だが、未だに何故そうなるのか、理解に及ばない。これも一種の『謎』なのだろうか。

 ならば、もしこの意味を理解する日が来たら――?

++ fin ++




戻るか?