告【こくはく】

 我が輩は勝利した。喜ぶべきことだ。しかし……目の前の我が奴隷は放心状態で力無く壁にもたれて座っている。
 今回のことで痛感した。いかにヤコが大切な存在であるかを。
「我が輩としては何故こんな感情を持ってしまったかが最大の謎なのだが、我が輩はどうも我が輩が思っている以上に貴様を大事に思っているようだ」
 体も心もぼろぼろに枯らしきった顔が、ピクリと反応を見せた。
「これが、人間の言う『好き』という感情か? 厄介なものだな」
「ネウロ……私……」
 涙がぽろぽろと零れる。無理矢理抑え込まれていた感情が、今、戻りつつある。
「でも……私……駄目だよ。Xに、私……」
「構わん」
 震える体を抱きしめた。こんなにも細く、華奢な体。抱きしめて初めて気づくとは。そもそもこの体が耐えられるはずもなかったのだ。それを……。
「Xめ……。もっと苦しめるべきだったか」
「いいよ、ネウロ。そんなことしなくってさ」
「しかし、我が輩の気が収まらん」
 そう言う我が輩に、ヤコは健気にも笑って見せた。
「ネウロの告白……嬉しかったもの。悪いことばっかりじゃなかったよ」
「そうか……。貴様がそれでいいのなら、仕方がない」
 我が輩はヤコを抱き上げ、動かなくなったXを一瞥して、その場を去った。ヤコは、弱いながらも、腕を我が輩の首に回した。
「ありがと……ネウロ」

++ fin ++




戻るか?