「大好き!! ありがとう〜〜、笹塚さん!!」
くたびれた刑事に餌付けされ、我が奴隷は大層嬉しそうにそう言った。我が輩の奴隷である分際で、他の男にしっぽを振るとはけしからん。しかも奴隷はさらにこう続けた。
「いい人なのはわかるよね…笹塚さんって。優しい人」
そこにあるのは、明らかな「好意」というもの。我が輩には理解できん。理解はできないが……何故だか胸がざわつく。何故だか苛つくのだ。ヤコが、笹塚刑事を褒めれば褒めるほど。
これはもしや嫉妬というものか?
地上の知識に当てはめれば、この状況だと……。
我が輩が、ヤコに好意を持っている、と取れるようだ。
馬鹿馬鹿しい。
何だってワラジムシなどを我が輩が……。
我が輩は思考を停止しようとした……が、すぐに再開することにした。
仮にも『謎』を喰う我が輩に、思考することと生きることがイコールである我が輩に、一瞬でも思考を停止させるほどのことを起こすとは……。
そんなことをさせるヤコに、そうしてしまった自分に、少し興味が湧いた。
しばらくはこの感情とやらを、泳がせてみようか。
++ fin ++