「恐らく貴様は我が輩より遙かに早く死ぬだろう。そのときは、泣き叫べばいいのか?」
「ネウロ……」
「泣き叫び、逝くなと命令すれば、貴様は安らかに死ねるのか?」
「…………」
安らかに……どう、だろう……。死ぬ間際のコトなんて考えたこともなかったけど。だけど。
「そう……だね……。ちょっとは悲しんで欲しいかも。でも……」
振り返って、正面からぎゅっとネウロを抱きしめる。
「私だったら……最後の最後に、ネウロの笑顔が見たいなぁ……」
一筋、涙が頬を伝った。うん、最期に見るのは、笑顔が良い。そして、叫ばなくても良いから、そっと愛を囁いてくれたら、それで充分、お釣りが来るよ。
「そうか……」
私を抱きしめる腕が微かに震えていた。そうだ。私にとって、死ぬのなんてずっと先だと思っていたけど、ネウロにとっては長い寿命の中の、近い未来の出来事なんだ。
私は、ネウロを一瞬強く抱きしめて、体を離した。少しだけ距離をとるために後ろに下がって。
「ネウロ、大好きだよ!! ずーっと、一生!!」
思い切り大きな声で言った。ここは世界の中心なんかじゃないけど、ここで叫んだっていいでしょ?
「フッ……このワラジムシが……」
嬉しそうな顔で悪態を吐くネウロ。つかつかと歩いてきて、私を力一杯抱きしめた。そして、耳元で小さく、本当にギリギリ聞き取れるくらいの声で。
「愛してるぞ、ヤコ……」
そぉっと、囁く。内緒話みたいに、私だけに大切なことを伝えてくれた。
「我が輩は叫ぶなどせん。貴様にだけ聞こえれば充分だろう?」
甘い甘い、ピアニシモ。だけど、どんな大音量より私を震わせる。
そっと降ってくる唇を、唇で受け止めた。今、私が死んだら、死因は「幸福」だなぁ。
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2008/01/07
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