愛なんて何処で叫んでもいいじゃない

「誰か、助けてください!!」

 TVの中の俳優が、女優を抱いて叫んでいる。感動的なシーン……らしい。学校の友達はぼろ泣きしたって言ってたっけ。
「貴様もまさかこんなもので泣くのか?」
「いっ、いーじゃん、泣いたって」
 後ろから声がした。振り向かずに答えた声が震えているのなんて、簡単に気づかれてしまう。

 好きな人が死んでしまう、なんて考えただけで涙が出るよ。どーせ魔人にはそんなの解らないんだろうけど。

「ふむ……この男は無駄なことをしているな。オーストラリアに行く金があれば、治療費にすれば良いものを」
「え、だって、白血病だよ?」
「この豆腐が。白血病は不治の病ではないぞ」
「嘘っ!?」
「嘘ではない。治療法もかなり改善されてきている」

 え、白血病ってなったら死んじゃうんじゃないの? 知らなかった……。確かに、それを知っていたら感動できないかも。

「まあ、治すのが難しいことには変わりないが……しかし、無理にこうして寿命を縮めることもないだろうに」
「そ、そうなんだ……でも、それ言ったらおしまいだよ、これ」
 涙を拭いながら、精一杯ネウロの言葉に反抗してみる。負けるのは解ってるけどさ。

 ネウロは、ドラマに重ねて思うことはないんだろうか。例えばこれなんて、私達に当てはまりそうじゃない。先に死にゆく女と、それをどうすることもできず、取り残される男。
 私が死ぬときは、ネウロもこんな風に泣き叫んでくれるだろうか。……ないかな。今だってこんなコト言ってるくらいだし。

「貴様はこの男のような行動を我が輩に求めるのか?」
「え?」

 そっと、後ろから抱きしめられた。その腕は優しく私を包んで。なんだか悲しそうに感じられるのは何故?

続く→



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