頻繁な行動、稀な現象

学園パラレルです。

 情報処理の授業。BASICを使った簡単なプログラミング。この授業の担当は、機械科や土木科などといったクラス専任ではない、一般科の講師、ヒグチである。ノリが軽く、学生とも気軽におしゃべりできて親しみのある講師、というのが学内での評判。

「脳噛、もうできたのかよ……すげーな」
「……どうも」

 顔をぽりぽり掻きながら、脳噛ネウロのプログラムのチェックをする。彼のプログラミングは完璧だった。無駄なコードもなく、迅速に書き上げてしまう彼に、ヒグチも興味を持ったようで。

「そういや、生物研の桂木先生と仲良いんだって?」
「……いえ、時々質問をしに教官室を訪ねる程度ですよ」
「それが仲良いんだって。好きで教官室に頻繁に通う学生なんていねーよ」

 軽いノリであってもそこは高専の教官、観察眼は並ではない。

「しっかし、こんだけできんのに何で情報科に行かなかったんだよ?」
「それは……PCのできる情報科以外の人には禁句なのでは?」

 情報処理工学科は倍率が高く、それ故、他の科なら合格ラインでも情報科では落ちる、ということがよくある。つまり、PCスキルが高いのに情報科でない人間は大抵が第二志望の学科にいるのである。

「脳噛の頭なら情報科第一で受かるだろ」
「買いかぶりすぎですよ。僕は何となく物質工学科を選んだだけで」
「何となく、ねぇ……案外、桂木先生に接触するためだったりして?」
「…………」
「……マジ?」
「……まさか。ここに入って初めて出逢ったんですよ?」
「それもそーだ」

 あっさり引き下がるヒグチ……と思いきや、最後に爆弾発言をかました。

「あ、俺、桂木先生狙ってるから」

 一瞬、脳噛ネウロの顔が引きつる。それをヒグチは見逃さない。
「ライバルってやつ? よろしくな、学生」
 ぽん、と脳噛ネウロの頭に手を置いて、その場を去る。「学生」ということをことさら強調して。

 それに大きな苛立ちを覚えるのは何故か――桂木弥子を取り巻く環境に身を置けば、いずれ解るのかも知れない。

++ fin ++




戻るか?