「何、ネウロ……女性週刊誌なんて読んで……」
「フム。昨今ではファーストキスの味というのがレモン味から苺味に変わっている、などという記述があったのだが……」
「……は?」
「我が輩はレモンとやらも苺とやらも、喰う気もなければ味も解らん」
「そりゃ…そうだろうね……」
「しかし、貴様は解るのだろう?」
「そりゃあもう! 摘み立ての苺の新鮮さといったら! ……何故か次の年から苺狩りのところで断られるようになっちゃったけど……」
「その理由は明白だな……」
「うん……」
「……話が逸れた。して、貴様はどっちだったのだ?」
「へ?」
「我が輩とのファーストキス……貴様には何味だったのだ?」
不敵な笑みを浮かべて、少女に顔を近づける魔人。
少女の顔は一瞬にして苺のように真っ赤になってしまった。
「え、えと……わか、んな……」
「まさかファーストキスの相手が我が輩でなかった……などということは……」
「それはないっ! ネウロが相手! 全部、ネウロが初めてだよ!!」
「ほう……全部……」
少女の余計な一言に気をよくした魔人はニヤリと笑って、唇を重ねる。
「んっ…」
「……で、何味だ?」
「……………………なぞ……」
「む?」
「解らないの! 謎なの!」
「…………ほう」
きょとんとした顔をした後、少し間をおいて、魔人は穏やかに微笑んだ。
ちゅ、と軽くキスをして、少女を解放して背を向けてしまう。
しかし、その後ろ姿でも解るくらい、彼は上機嫌だった。
「??」
――ファーストキスは『謎』の味。
++ fin ++