一つの事件が幕を下ろした。例によって弥子が犯人を指さして、ネウロがトリックを「代弁」して。
いつもと違うことと言えば、弥子が心なしふらついているくらい――。
「…っ、弥子ちゃん!!」
がしっと肩を掴まれた。いや、支えられた。弥子は危うく倒れるところだった。笹塚さんは優しいなぁ、なんて呑気なことを思う弥子。
「あ、ありがとうございま……」
「先生っ、大丈夫ですか!?」
お礼を言い切る前に、ネウロは笹塚から弥子を引きはがした。その反動で、反対方向へ倒れそうになるのを何とか踏ん張った。と、同時に下腹部に激痛。その場に座り込んでしまった。
「おい……もうちょっと丁寧に扱ってやったらどうだ?」
笹塚はネウロにそう言うと、弥子の前にしゃがんで、小さい声で弥子に尋ねた。
「もしかして、弥子ちゃん……アレかい? 俺の……妹も、昔……そんな感じでさ……」
その通り、弥子は月のものが来たばかりだ。下腹部の痛みは生理痛。笹塚に知られてしまったのは恥ずかしいが、あまりにも余裕がなくて素直に頷いた。
「先生、お加減がお悪いようでしたら、もう帰りましょうか」
あくまで心配する助手を演じるネウロ。その胸中は苛立っていた。
「いや、コレ歩くのも辛いだろ……車で送ってくよ、弥子ちゃん」
「あ……はい……。ごめんネウロ、先に事務所…帰ってて……」
半ばネウロを無視する形で、弥子は笹塚に身を任せた。笹塚は弥子をいわゆるお姫様だっこをして、車へ向かった。
「…………」
ネウロは、ともすればその場にいる全員を殺せるくらいの殺気を、助手という面の皮一枚で隠していた。
つ、続く…?