「ふむ……『困ったときのベタ辞典』か」
「何、それ?」
「なかなか興味深い本があったのでな、中古で購入してみたのだ」
「また俗っぽ…あ、いや……」
「……む!!」
「(何かイヤなものを見つけやがった!!)」
「ヤコ(にこにこ)」
「なななななに…?」
笑顔で近づいてきたドS魔人は、私に無理矢理、紅茶を飲んだ後のティーカップを持たせてきた。
「?」
そしてこともあろうに、私の腕をぶん回して、そのティーカップを床に叩きつけてしまった!!
「ちょっ……これ、ヘレンドのティーカッ…」
「ヤコ(ニヤリ)」
真っ黒な笑みを浮かべて、ベタ辞典とやらのとあるページを開いて見せてきた。
「うっ……」
これを言わせたかっただけなんだ、こいつ……。
そのためだけに、この高級ティーカップを……いや、うん、こいつはそーゆー奴だ。
ちらりと上目遣いで顔を窺うと、有無を言わせない威圧感があって、見るんじゃなかったとすぐに後悔した。
「ヤ・コ」
「〜〜〜っ……お……」
この後の展開を考えると、言ってしまった方がマシかも知れない。
「『お許しください、ご主人様』……」
「よろしい」
案の定、この上なく上機嫌で、魔人はディープキスをかましてきた。
++ fin ++