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くるり、とヤコは後ろを向いてしまう。皮肉なことに、我が輩に背を向けたがため、その細い体の震えが強調された。我が輩はその背中に手を伸ばそうとして、直前でその手を止めた。
何故今更、躊躇する? ヤコの言うように、無理矢理抱いたことだってあったのに。
「良かったよ! これで普通の生活ができるもん」
震える体は、それでも、声だけは明るくて。
「嬉しい…か?」
「もちろんだよ! これからは、放課後に叶絵とショッピングしたり、買い食いしたり……か…格好いい彼氏だって、見つけちゃ……」
気づけばヤコを抱きしめていた。あまりに頼りない肩を、腰を、自分の腕で雁字搦めにして……。
「な、に……わたし、を…解放するんじゃ…ない、の?」
「ああ……そうだ……」
言葉とは裏腹に、腕はヤコをきつく縛って放さない。
「……私はもう…いらない、って……ねぇ…これも、DVの一環なの? 最後の虐待…なの?」
違う、ととっさに叫びそうになり、ようやく矛盾する行動の意味を自覚した。しかし……。
「……ミジンコが…………」
苛立ちを含んだ呟きに、ヤコの体が反射的に強張った。今まで、如何に我が輩の仕打ちで傷つけたか、その一瞬に全て集約される。
これほどまでに深く、ヤコの中身を抉った我が輩が――
「もう……はなして……」
――愛しているなどと、どの口が言えよう?
……つ、続く!
++ fin ++