突然変異種

「ネウロ!!」

雑誌を読んでいたはずのヤコが、突然抱きついてきた。
その手は微かに震えていて、ぎゅっとスーツの裾を握っている。

「どうした、ワラジムシ」

顎に指をかけてこちらを向かせれば、その眸は潤んでいて。
顔は悲痛に染まっていた。

「ネウロ……」
「どうした」
「あ……な、何でもない……」
「そんなわけなかろう」

ふとヤコが読んでいた雑誌に目を向ければ、一つの文が目に飛び込んできた。

――突然変異種というのは、大抵が短命である。

なるほど、そういうことか。
ヤコの涙を舌で拭い、軽く口づけた。

「ヤコ、我が輩はそう簡単には死なん」
「うん……」
「少なくとも、貴様の寿命が尽きるまでに死ぬことはない」
「うん……ごめん……」
「何を謝る? 我が輩の胸は歓喜で満ちているぞ」

そもそも我が輩が変種でなければ、地上になど来なかっただろうに。
謝るどころか、歓迎するべきことだ。

我が輩はヤコを抱きしめ、耳元で囁いた。

「貴様にこうも想われるなら、突然変異種というのも悪くない」

++ fin ++




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